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BABY D/A-TOWN SECRET WEAPON
BABY D/A-TOWN SECRET WEAPON
実は90年代から活動しているアトランタはOOMP CAMPのBABY Dが、(一部で)長らく待たれていた三枚目のフル・アルバム『A-TOWN SECRET WEAPON』をリリース、これがまた、局地的にかもしれませんが見過ごせない好内容に仕上がっています。

“局地的に”というのは、わりと特定の嗜好に対してピンポイントだという意味で、まず、ひしゃげたハ虫類声の高音ラップが好物の変態リスナー(自分含む)にはドンピシャリ。以前の作品を未聴の人は、UNKからの流れで聴くのもマチガイナイかと。
また、上モノが一切ない鬼ミニマル『Do It』に象徴的なように、どストレートなスナップ・チューンを多数収録しているので、スナップの権化・D4LのSHAWTY LOのアルバムに肩透かしを食らったマニアも泣いて喜ぶこと必至です。
 
BABYと呼ぶにはお肌の衰えがジャケ写でも顕著なDさん。そこそこキャリアがある人なので、『A-TOWN SECRET WEAPON』というタイトル自体、日本のヒップホップ・リスナーへのあてつけか?と勘繰ってしまいそうになりますが、徹底した地元密着のスタイルがブレイクの妨げとなっている部分は確かにあるのかもしれません。
ただ、DOWN-SOUTH.comに書かれた『OFF DA CHAIN』のレヴューで取り上げられている、“I know a lot of people who have been signed to major labels, but their album ain’t sell nothing, My album came out independent, but I still sold more than they did. It’s about the respect. People just see you on TV and think you’re making money, but the album might not be selling. You just get more recognition.”という発言などからは、あえて(なのだと信じておきます)インディを基盤とする彼の活動理念が窺え、その地に足着いた姿勢には好感を覚えます。

何と言っても、まずは先行シングルの『I'm Bout Money』。この曲自体がオモテに出たのはけっこう前だったと記憶していますが、聴いていて未だに飽きないです。最近のアトランタ・マナーに則った勇壮なオケと、フックの突き抜け感が気持ちイイ。
その他の曲も、ディストーション・ギターとトランシーなシンセの合わせ技が熱い『U Gotta Love It』に始まり、
GUCCI MANEの曲を参照し、その本人とSHAWTY LO(相変わらず気の抜けまくったフロウを披露...この人のラップは本当に奥が深い)を客演に迎えた『Icey』、
リバーブたっぷりのオルガン使いがユニークな『Patron』、
キャッシュマネー調の男気トラックとド派手なフックにテンションが上がる『Put'em Up』、
ロックシンガー然とした薄味の歌をフィーチャした高速チューン『Girls Gone Wild』、
締めにふさわしい泣きの天国シット『For My Nigger』...と佳曲多し。上に挙げた『Do It』以外にも『So Fresh』『Got It Girl』といったスナップ・チューンがいくつか収められており、間口が狭いようでいて実は多彩、というのが大きなポイント。

で、ビートもイイ感じですが、主役のキレのあるラップもまた然り。最近あまり見られなくなってきた、倍速でハメるスタイルを随所で取り入れているためメリハリもタップリで、予定されていたUNKとの曲が入っていないことこそ残念ですが、BABY D一人でも十分に聴かせてくれます。モロにR&B調の軟弱トラックがないのも、イメージに反して男らしい。
今回はサウンド面を実質的にDJ MONTAYが単独で仕切っているので(そのわりにはバラつきが目立ちますが...)、次作は是非とも色んなプロデューサーと組んでみて欲しいです。できれば、そんなに間を空けずに。
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テーマ:洋楽CDレビュー - ジャンル:音楽

SHAWTY LO/UNITS IN THE CITY
SHAWTY LO/UNITS IN THE CITY

『Laffy Taffy』のD4LからSHAWTY LOがソロ・アルバムを出すと聞いた時、また、その中身がフィーチャリングを抑えた純然たるソロ曲で半数以上を占められていると知った時は、本気で耳を疑いました。SHAWTY LOといえば、“気が抜けたYOUNG JEEZY”という形容がまさに言い得て妙な、ユルすぎるにも程があるダルッダルなフロウが特徴的なラッパーなので、特にD4LにおいてはFABOがいてこそ活きる部分が多々あり、グループにとっては不可欠な存在でも、ソロマイカーとして10数曲を聴かせるのは厳しいだろ...というのが、イメージとしてあったわけです。

加えて、リリース前に音源が盗難→リークされるというトホホな出来事にもいっそう不安感をかき立てられましたが、その後カットされた『They Know(Dey Know)』がそうした思惑を木っ端微塵にするカッコ良さで、結果的として、『UNITS IN THE CITY』自体が非常に充実した内容のアルバムに仕上がっていました。
『They Know(Dey Know)』はもう完全にクラシックですね。MANDRILL『Children Of The Sun』のブレイク部分を使った中毒的なビートは、フリースタイルのバックトラックとして引っぱりダコという点も含め、どことなく現代版『Time's Up』とでもいった趣き。ネタ使いもなかなかイケてるので、元曲を聴いたことがない人は是非チェックしてみて下さい。“ココ使うんだ!でも、使うならココだよなぁ”と、何とも言えない気分になります。
アルバムには収録されていませんが、LIL WAYNEやYOUNG JEEZY、LUDACRISらを迎えてマイクリレーものに仕上げたリミックスも何パターンかあり、どれもサイコーの出来。
この曲、というかアルバム全体を通じて、SHAWTY LOは例によってヤル気のなさそうな、けだるいフロウを押し通しているのですが、マイスペのバイオに“Lo's whispery slow flow is a sharp contrast to the Bankhead Bounce”と書いてあることからもわかるように、単純にスキルがないというのではなく、ビートとの兼ね合いで明確な効果を狙っているのだと思います。

また、ソロで曲を作ることによって(D4Lのパブリック・イメージともいえる)スナップの呪縛から解放され、自由に制作に取り組めた様子が窺え、DJ TOOMPっぽい音作りの『Foolish』などは、グループでは見られなかったタイプの曲で、アトランタの空気を強く感じさせ、YOUNG JEEZY『I Luv It』を彷彿とさせるドラマティックなナンバーです。
さらに、今流行りのトランシーなシンセ音を使いながらも、浮遊感のある雰囲気が独特な『Feels Good To Be Here』や、
チープな音色を印象的なリフで際立たせた、(STEADY GRINDING RECORDSを通じて2001年から付き合いのある)PHACE BAITYのパフォーマンスも素晴らしい『Ain't Tellin' You』は、エレクトロニカ的と言っても良いほどユラユラした音像がルーズな語り口にフィットしているし、
YUNG JOCあたりがやりそうな、どキャッチーなシンセブラスが痛快な『Ga Lotto』は、アルバムをバラエティ豊かにするのに一役買っています(これも『Foolish』とは別の形のアトランタ・マナーと言えるのかも)。
一見トレンドに忠実かと思わせておいて、細かい部分で面白い仕掛けを施しているのもこの作品の特長で、トランス/ハードハウスの音色そのものではなく、フレージングをサンプリングしたかのような打ち込みのピアノが明け方感を演出する『Live My Life』は、その最たる例です。

ことヒップホップにおいては、ピンと比較するとグループが負わされる音楽的な制限は明らかですし、特に、D4Lが活動していく上で第二・第三の『Laffy Taffy』を求められるのはある程度仕方がないことなので、今のタイミングでソロ・アルバムをリリースしたのは大英断だったと思います。
惜しいのはただ一点、ミックスが良くない!内容は間違いなくメジャー級なので、そこらへんの手抜かりはホントに残念です。中域に音を詰め込みすぎてしまっているため、ドラムの低音の迫力とシンセの高音の気持ち良さ、いずれの持ち味も殺してしまっているんですよね...。BOB POWERを起用しろ、とまでは言いませんが、裏方にもチョットは気を使って欲しいものです。う~ん、もったいない。

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