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RAHEEM DEVAUGHN「THE LOVE EXPERIENCE」
RAHEEM DEVAUGHN「THE LOVE EXPERIENCE」

前回、RAHEEM DEVAUGHNの新作「LOVE BEHIND THE MELODY」を紹介しましたが、RAHEEMといえば、何と言っても2005年リリースの大傑作「THE LOVE EXPERIENCE」について触れないわけにはいきません。
僕は発売以来飽きもせずこのアルバムを聴き続けていますが、これほど鮮度が衰えず、聴く度に新しい発見をさせられるR&Bアルバムも他にありません。新作を絶賛しておいてなんですが(良い作品ですよ!)、個人的な好みを度外視しても、1stの圧倒的な完成度にはさすがに及ばないと思います。

僕は基本的に、ソウル/R&Bというものは良くも悪くも規定的な音楽で、そこにマイケルのような規定外のアーティストが出現する危ういバランスこそが大きな魅力だと考えているのですが、RAHEEMの方法論は、マイケルやその他のイノヴェーター達のそれとも違う(あくまで規定の中で遊び心を小出しにしている感じというか...)。
そう考えると、RAHEEMはやはり色んな意味でPRINCEチルドレンの筆頭株と言えるような気がします。

制作にあたって実に2年の準備期間を設けたというこの「THE LOVE EXPERIENCE」、それだけに流行性よりも普遍性に重きが置かれた内容となっていますが、そこはさすがにクセ者のRAHEEM DEVAUGHN、作り手の個性が強いぶんありきたりな作品になるわけがありません。
まず何と言っても、SWITCH「My Friend In The Sky」を使った表題曲が素晴らしい!ロウなヒップホップ・ドラムに込み上げ系のメロディ、(しばしば比較される)マーヴィンが乗り移ったかのようなパフォーマンスが聴けるブリッジの展開が鳥肌モノなこの曲を聴いただけでも、コレがその他多くのR&B作品と趣を異とすることがわかるハズ。
UGKがRAHEEM本人を招いて再利用した「Real Woman」も記憶に新しい「Guess Who Love You More」は、パッと聴き地味ですが、繰り返し聴くうちにズブズブとハマり込む麻薬的なグルーヴを持った曲。かくいう僕も、最初は“なんでコレがシングル?”と首をかしげましたが、10回近く聴いて本当に好きになりました。こういう経験は珍しいです。
ミックスのクオリティも非常に高く、特に、ドラムの臨場感豊かな音処理には耳を奪われます。印象的なフレーズを奏でるベースとの絡みもイイ感じ。
RAHEEMの歌は、例によってお世辞にも巧いとは言えないのですが、それを味とさせてしまうパワーがあります。特長の一つでもある、緻密に構成を練られたコーラスワークも聴きどころ。
LARRY GOLDが指揮する壮大なストリングス(ラストの長尺ソロがヤバイ!)が涙腺を刺激する「Where I Stand」も、高い音楽性とラフなヒップホップ・ビートがうまく融合した名曲。フィリーな質感に少しだけ時代を感じます。

そして、BOYZ Ⅱ MENを引用した、ギターがむせび泣くスロウジャム「Ask Yourself」,
切ないギターのリフと夢見心地なコーラスにオヤGもソファ直行な「Believe」(個人的ベストトラック!),
ICE CUBE「It Was A Good Day」と同ネタ(アイズレー「Footsteps In The Dark」)の「Until」の3曲は、G-RAP/甘茶ソウル・ファンの同胞にも是非聴いてもらいたい!これが鬼メロウってヤツです。
で、キューブ曲をあらためて聴き返してみたところ、使い方だけでなく質感も結構似てました。そう考えると、「THE LOVE EXPERIENCE」は冗談抜きでG-RAPファンの耳にアピールする作品なのかも...。

聴くたびに毎回思うんですが、このアルバムにはホントに捨て曲がない。もちろん、全曲シングルカット可能!というタイプのアーティストではないので、即効性のある曲ばかりではないのですが、そうでないものも革新的だったり個性的だったり、つまりは何らかの形で記憶に残る曲ばかりなわけです。
例えば、エレキギターのアルペジオと湿ったメロディがUKロック的な「Who」,
クラシカルな雰囲気がドープな「Breathe」と「You」,
まるでフォークトロニカのような静謐さが美しい「Is It Possible」,
サウンド/歌ともにレニクラ(「Thank You」でシャウトアウトしてます)を思わせるロッキンな「Cadillac」などは、もはや完全にRAHEEMワールド。シビれます。

RAHEEM DEVAUGHNは稀代のR&Bモンスターだと思います。上でG-RAP/甘茶ソウル・ファンにオススメと書きましたが、一方で、普段ロックを聴いている人にも激プッシュできますから。
あと、新作もフツウに良作だということは、あらためて強調しておく必要がありそうです。そもそも、メイン楽器(ちょっと乱暴な言い方ですが)がストリングスから鍵盤にシフトしている時点で、印象はガラリと変わりますし...。アーバン寄りという意味では、コチラの方が好きな人も少なくないでしょう。
個人的には、客演オファーが激増し、グラミーのノミネートなどで正統な評価を得るようになったからこそ、次作では好き勝手にやって欲しいと思います。新作が出たばかりなのに気が早いですが、今から楽しみです。
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RAHEEM DEVAUGHN/LOVE BEHIND THE MELODY
RAHEEM DEVAUGHN/LOVE BEHIND THE MELODY

R&B・ヒッピー・ネオソウル・ロックスター...このうさん臭い名称がRAHEEM DEVAUGHNのオフィシャルなa.k.a.だそうです。一体何のことやら。

RAHEEM DEVAUGHNといえば、独特のヘアスタイル(1stのジャケを参照)にファッション、ライヴパフォーマンスから、“孤高のアーティスト”的な見方をされることが多いような気がしますが、上に挙げた呼び名やそうしたキャラクターに反して、やってる音楽はそこまでオルタナティブなものではないと思います。むしろ、新作「LOVE BEHIND THE MELODY」は、コアな音楽性が際立っていた「THE LOVE EXPERIENCE」に比べれば、“ど”がつくほどストレートなソウルアルバム。もしイメージで食わず嫌いされているとすれば、実にもったいない話です。

ただ、本人が他の凡百のR&Bシンガー達と一線を画する気概を持っていることは間違いなく、それはイントロ的な「Hello Love...」(サクッと終わりすぎ!イイ曲なのに...)のポエトリー・リーディングっぽいフロウや、随所で耳につく非黒人音楽的なメロディ(ヒッピーとロックスターはここから?)に顕著です。こうした試みは、ともすれば奇をてらっているだけにもなりがちですが、個人的には、実験精神旺盛な姿勢は大歓迎。というかそれ以前に、グループ出身というキャリアに由来する一人多重録音の妙、シンガーとしては珍しいミックステープ(ストリート・アルバム)の積極的なリリース、自身が属する複数のユニットを含む地元重視の活動など、個性的なトピックが次々と出てくる時点で十二分に面白いんですが。

ストリングスのキメから一転、スキ間を活かしたソリッドなビートになだれ込む冒頭曲(KENNY DOPEプロデュース!)に続く「Woman」は、グラミー賞候補にもなった佳曲。ひたすら女性を讃えまくる歌詞もニクイです。
暖かみのあるエレピが抜群の心地良さを演出する「Love Drug」、JOHN LEGEND~ALICIA KEYSあたりの系譜で聴けそうな、ソフトロック然としたアップ「Energy」はSCOTT STORCH作。これらはまさに鍵盤奏者の面目躍如といったところで、普段作っているラップものとの落差(特にミックスの音像とか)がオモロイです。ドラムを立たせていないのも、間違いなく“あえて”ではないかと。それにしても、BIG BOIラップうめぇ^^;

さらに、テンプスの名曲「My Girl」を使っている時点でヤバスギル「Friday(Shut The Club Down)」のモータウン感や、
「Customer」での演歌ばりにコブシの効いた歌唱、
スネアのトバしが素敵な「Desire」のUKっぽい湿ったメロディに、
「Butterflies」のサーフミュージックにも通じるゆる~い横ノリ感と、RAHEEM DEVAUGHNならではの個性的な曲が次から次へと並びます。こういう多様性があるからR&Bは楽しい。もしかすると、これはヒップホップ色の濃いイマドキのR&Bに耳慣れた人にこそオススメな作品なのかもしれません。

一方、ソウル原理主義者には充実のスロウ群を。ドリーミーな浮遊感に失禁しそうな「Mo Better」(制作はALICIA KEYSの新作でも活躍したJACK SPLASH)は、個人的にこのアルバムのハイライト。トロトロです。
鬼気迫るコーラスがエモい「Four Letter Word」も、結びにふさわしい完成度。これまた言うことナシ。
...とまぁ、結論から言うと、R&Bやソウルという言葉に少しでも反応する人であれば、文句ナシに楽しめる作品ってことです。前回紹介したJAHEIM同様、流行りやクラブ映えするかということよりも、歌の良さそのものに焦点を絞った作りにも好感が持てます。
で、さらに言うなら、この新作と名盤の1st「THE LOVE EXPERIENCE」をあわせて聴けば、RAHEEM DEVAUGHNという人の魅力が余すトコなく伝わるハズです...(つづく)。

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JAHEIM/THE MAKINGS OF A MAN
JAHEIM/THE MAKINGS OF A MAN

2001年デビューの4枚目...なかなか良いペースです。いわゆる“ゲットー三部作”を経た、名門・ATLANTICレーベルでの初作、JAHEIM「THE MAKINGS OF A MAN」がかなりイイ。
BOW WOW & OMARIONが“女性のためにアルバムを作った”と言い切ってしまうご時勢、“レイディ~ス”な歌い手が多くを占める今日この頃なので、JAHEIMのように男臭さと繊細さを兼ね備えたアーティストが安定した活動を続けていると、なんだかホッとします。いくら内容が良くても、“女性向け”と公言された作品を積極的に聴く気には、なかなかなりませんからね...。

で、僕が元々JAHEIMのファンであることを差し引いても、相当良いです、コレ。昨年出た男性ボーカルものの作品の中でも、ベストの出来ではないでしょうか。
JAHEIMは決して技巧的に優れたシンガーではないので、1曲目の出だしから思いっきり音を外していたりするんですが、歌いっぷりが堂々としているぶん説得力があります。穿った見方をすれば、これは昨今のプログラムされた歌達に対するカウンターなのかもしれませんけど、実際こっちの方が数倍味がありますね。土臭いホーンのアレンジが効いたこの曲のタイトルは、「Voice Of R&B」。スンゴイ自信です...が、とっても痛快。
メロウなギターの裏打ちと浮遊感あるウワモノが最高に心地良い極上スロウ「Hush」は、R.KELLYのプロデュース。個人的にR.KELLYの歌自体はそこまで好みではないのですが、裏方としてもこういった曲を作れる才能はやはりグレートとしか言いようがありません。
そして、ハイライトはいきなり3曲目。「Have You Ever」は、今後間違いなくJAHEIMの代表曲になるハズ。ありがとう、KAYGEE...この曲はホントに最高。ネタ使用されたFORCE MD'S「Tender Love」のザラついた質感が、イヤというほどノスタルジーをかき立てます。
もう一発、KAYGEE制作の「Lonely」、コレがまた...。今まで何人のオヤGを泣かせてきたかわからない、至高の名曲・BOBBY WOMACK「If You Think You're Lonely Now」の(ほとんど)カヴァー!例のギターの鬼フレーズが涙を誘います。こういう“男の哀愁”的な曲は、まさにJAHEIMの真骨頂ですね。

引き合いに出される事の多いテディペンへのオマージュ?HAROLD MELVIN & THE BLUE NOTES「Hope That We Can Be Together Soon」を使った「Life Of A Thug」でホッコリした後は、これまたキラーチューンの「Just Don't Have A Clue」。ぶっといウェーブシンセにBABYFACEの瑞々しいアコギが絡むトラックの斬新さもさることながら、フックでの歌の展開が素晴らしく、日本人受けしそうな胸キュン・メロディーは必聴です。
それにしても、JAHEIMの曲は本当にヒップホップ度数が高い。上の曲を含め、ミディアムはフツウにラップが乗っていてもおかしくないビートばかりなので、B-BOYのハートをもわしづかみにすること請け合いです。

さて、先行シングルは「Never」。最初は地味に感じるかもしれないこの曲も、聴けば聴くほどクセになります。キャッチーでつかみのある楽曲が揃う中でこの渋いバラードを切ってきたことが、このアルバムにおけるJAHEIMのスタンスを如実に物語っています。
唯一のゲスト・KEYSHIA COLEを迎えた「I've Changed」は、これまた大ネタ・ATLANTIC STARR「Let's Get Closer」使いの哀愁ミディアム。KEYSHIA COLEは調子イイですね。フェイクなんかはけっこうメアリーっぽかったりもするんですが、リズム感や言葉のハメ方に抜群のセンスを感じます。主役との相性も勿論バッチリで、その辺りからも、JAHEIMのディレクション能力の高さが窺えます。
IVAN BARIASとCARVIN HAGGINSの鉄壁コンビが手がけた「What You Think Of That」はいわゆるネオ・ソウルな質感の良曲ですが、ここでも際立っているのはメロディの強さ。楽曲のフォーマットは、JAHEIMの歌を語る上では大した問題ではないのかもしれません。

そして、何と言っても注目すべきは自分(+腹心達)プロデュース曲の充実ぶり。ラストの「Make A Wish」~「Back Together Again」の流れは、涙なしでは語れません。当たり前ですが、自分で(アレンジを含めた)コンポーズできるシンガーは強い。しかもJAHEIMの場合、KAYGEEやIVAN BARIAS・CARVIN HAGGINSのような、一流の職業作家達と比べても遜色のない曲を作るんだから恐ろしいです。
内ジャケでLUTHER VANDROSSへの愛情とリスペクトを喜々として綴っているところなどはまだまだ微笑ましい限りですが、このまま順調にキャリアを重ねていけば、ルーサーの領域にたどり着く事も可能な気がします。掛け値なしの傑作!

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FREEWAY/FREE AT LAST
FREEWAY/FREE AT LAST

いや~、待たされた。03年リリースの名盤「PHILADELPHIA FREEWAY」以来4年ぶり、FREEWAYの2ndアルバム「FREE AT LAST」です。
今のヒップホップ・シーンにおけるリリースペースの早さを考えると、4年というのは異例のスパンにも思えますが、その間、FREEWAYはメッカを巡礼して悟りを開いていたそうです(笑...この人はなにげにムスリム・ラッパー)。こういう笑っていいのかマジなのかわからないところもシュールで好き。

思うに僕らの世代、というか2000年以降にクラブ活動を本格的に始めた人の中には、FREEWAYの(隠れ)ファンがけっこういるような気がします。僕はROC-A-FELLAの全盛期はSTATE PROPERTY結成前後だと思っていて(今後どう転ぶかはわかりませんが...)、この時期の“NYの音”の定義=JUST BLAZE(カニエではなく)だとも思っているので、そういう意味では、「PHILADELPHIA FREEWAY」はシーンを象徴するような一枚でした。
特に、「Roc The Mic」を初めて聴いた時の衝撃はけっこうデカくて、パッと聴きバカっぽいが中毒性の高いフロウ・実はウィットに富んでいて粋な言い回しの多いリリック・高めの声でスピットしまくるという特異なスタイル...そんなオリジナリティにひたすら圧倒された記憶があります。当時は今と比べてプロモ盤の価値が高く、数が少ない上に12インチの初値が2000円を超えることも珍しくなかったのですが、この曲の皿もみんな必死で探してましたね~。STATE PROPERTYのLP自体、僕は未だによく聴きます。

さて、そんなFREEWAYの新作、盟友JUST BLAZEの不参加こそショックでしたが、主役の存在感はそれを補って余り得るもの。
個人的なベストトラックは、早い段階からマイスペでアップされていた「It's Over」と、SCARFACEを客演に招いた「Baby Don't Do It」。
DAVID PORTER「(I'm Afraid)The Masquerade Is Over」のホーンと声ネタを使った前者は、PVのゲトーな世界観も含め、BLACK MILKやPHAT KAT、NICK SPEEDなどのデトロイト勢にも通じるハードコア・チューン。オーセンティックなビートとスクラッチサビがたまりません。
後者は、ここ何年かネタ元として引っぱりダコ、WILLIE HUTCH「Overture Of Foxy Brown」使いで、サンプリング中心のアルバム中でも特にソウルフルなナンバー。曲自体の良さもさることながら、SCARFACEと長尺ヴァースを交わしてスパッと終わる潔い展開がニクいです。構成的にシングルにはなり得ないでしょうが...。

その他、意表をついてメランコリックに始まるフィリー・コネクション全開の「This Can't Be Real」(GIL SCOTT-HERON使い!),
カーティス「SUPERFLY」中の「Eddie,You Should Know Better」をベタ敷きした「Still Got Love」,
GLADYS KNIGHT & THE PIPS「The Way We Were」をサンプった「When They Remember」と、
ヒネリが効いていた1stと比べると(良い意味で)ストレートなソウルナンバーが満載。余計なお世話ですが、クリアランスは大丈夫なんでしょうか...?
さらに、奇っ怪なバウンスビートをJAY-Zと乗りこなす「Roc-A-Fella Billionaires」,
バスタ、ジェイダという人選が最高なストリート・シット「Walk Wit Me」,
真摯なリリックが胸に沁みる「I Cry」などは、どれも一聴の価値アリ!

ただ、なんだかんだ言って、JUST BLAZEのビートが聴けないのはやっぱり残念です。正直、SAIGONに提供したビートの中には、FREEWAYヴァージョンが聴きたくなるような良曲がいくつかありましたし...。まぁ、その辺は次回作に期待ですね。
逆に、ウワサされていた50 CENTの全面監修が実現しなくて良かったな...と、「Take It To The Top」を聴いて思いました^^;

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SCARFACE/MADE
SCARFACE/MADE

意外と知られていない事ですが、SCARFACEって、かなりミュージシャンシップ豊かな人なんですよね。もう何年も前に、(確か)ブラストの前身・フロントに掲載されたインタビューを読んで驚いた記憶があるんですが、ギターやドラムなどをマルチでこなせる上、フェイバリット・アーティストはMETALLICAだとか...。
新作「MADE」では、直接プロデュースしたトラックこそないものの、演奏者としてのクレジットも見られるので、御大がサウンド面においてもディレクションという形で手腕をふるった事は言うまでもないと思います。それはつまり、このアルバムの音楽性が“たかがギャングスタラップ”と侮ってはいけないほど、ハイレベルだということ。

前作(純然たるスタジオ・アルバムという意味で)「THE FIX」が従来の作品の中では比較的ライトでメロウな内容だった反動か、今回はジャケのトーンに象徴されるように、重厚でノワールな世界観の曲が大半を占めています。奇しくも、ほぼ同時期にリリースされたJAY-Z「AMERICAN GANGSTER」も、言わば“正装のマフィア・ラップ”を標榜するような渋い内容だったわけですが、両者のスタンスの根本的な違いが「Roc Boys(And The Winner Is)」のような華やかな曲の有無に表れているようで、とても興味深いです。重く深みのあるローボイスと、骨太でソウルフルな哀愁トラックがあれば、SCARFACEワールドの出来上がり。あ、それとリリックか。
例えば、冒頭曲「Never」の出だし、
“I would never violate the codes of the streets and I would never make a promise that I know I could't keep and I...”
と続くラインだけでも、チビりそうなくらいカッコイイ。この作品が日本盤化されないとは...正直、残念でなりません。

マフィア映画さながらの雰囲気に一気に引き込まれるイントロに始まり、
前述した、RONNIE DYSON「Sara Smile」使いの「Never」,
いなたいオルガンのリフが耳に残る「Bigg Dogg Status」を聴いた時点で、完全に“アチラ側”に連れて行かれます。
この粘度の高いビートはテキサス、というかRAP-A-LOTのお家芸とも言えますが、デジタル環境が主流となったことによる情報量のビット落ちからは逃れられないとはいえ、90年代中頃のヒップホップに近い音処理をキープしているところは実にグッジョブです。特に、どの曲もベースがつややかでオケへの乗りが良く、複数のトラックメイカーが参加しているにもかかわらずこれだけ統一感を出せるのは、コンダクターたるSCARFACEのスゴさに他なりません(僕の記憶が確かなら、彼はベースも弾けたハズ)。

そして、初期段階で入っていたTREY SONGZの歌が抜けてスッキリした「Girl You Know」は、「Smile」などと並びSCARFACE史上でも上位に入る名曲!いや~、NOTTZヤバイです。カニエやスウィズがビガップするのも納得というか。こういった、プリモ的な方法論で作られた曲は最近あまり出てきませんが、流行云々もあるんでしょうけど、単純に、そう簡単に作れるものでもないという事です。この曲の元ネタ・LENNY WILLIAMS「Because I Love You」は、You Tubeなんかで簡単にヒットするので、機会があれば是非聴いてみてください。NOTTZのサンプリング構築の妙がよくわかります。
そういえば、カニエもTWISTA「Overnight Celebrity」で同曲をユニークに使用していましたが、コチラは若干狙いすぎというか...ストレートなグルーブに関しては「Girl You Know」に分があるかと。

さらに、冒頭から不穏なサイレンが鳴り響く、盟友・N.O.JOE作のシリアス・チューン「Burn」,
THREE 6 MAFIA周りのおかげでネタ元的認知度も高まったWILLIE HUTCHの名曲「Theme Of The Mack」のイントロ部分をサンプった「Go」の2曲は、シングルカットされてもおかしくない良曲。
極めつけは、クラシカルなストリングスとクワイアが緊迫感を煽る「Git Out My Face」。こういった映画的な空気感は、SCARFACEの真骨頂といえるでしょう。そしてこのアルバム自体が、聴いていて一編の映画を観ているような気にさせられる、実に雰囲気のある作りになっています。

注文を挙げるとすれば、MIKE DEANの単独プロデュース曲が聴きたかったな、という事くらいでしょうか。イントロ=アウトロの出来が良いのに加え、ミックスとマスタリングを一手に引き受けている事を考えると尚更そう思いました。
まぁ、これはあくまでも“欲をいえば”ですね。クオリティに関しては、ケチのつけようがありません。
派手な曲こそ皆無ですが、SCARFACEの魅力を理解している人は、100%楽しめる内容だと思います。そうでなくても、この唯一無二の世界観を前にしては、不感症ではいられないハズです。

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918/REINCARNATED
918/REINCARNATED

ひさびさG-RAP!!!
1998年にオクラホマ・クラシックとして名高い「ZAGGIN GON BE ZAGGIN」をリリースしている918...なんですが、この人らの出身地・活動拠点に関してはいくつか情報が錯綜してまして、信頼に値する2つの情報筋でもオクラホマ説とテキサス説が真っ二つに分かれていて、正直どちらが正しいのかわかりません。
所属レーベルのSMUGGLIN RECORDSも、歌詞カードに記載されているホームページが消滅している事からみて既に活動は行っていない様子だし、ネットで検索しても引っかかる情報はほとんどないというありさま。
ただ、レーベルのオフィスはテキサスのアーリントンにあったようなので、918は“オクラホマを出自とするテキサスのアーティスト”とい言い方が一番収まりいいのかも。

そんな詳細不明な皿ですが、内容の良さは保証できます。とりあえずゲストが異様に豪華で、今となっては貴重なUGKを筆頭にE-40、B-LEGIT、C-BO、A-G-2-A-KE、ACE DEUCEといった、G-RAP愛好家にとってはお馴染みすぎるラッパー勢はもちろんの事、DEVIN THE DUDE、BILLY COOK、KOKANE、RONNIE SPENCER、LEVITTIと、唄のお兄さん達も猛者が勢揃い。スゴイです。
E-LOCはレーベルメイトでもあるLETHALのKLAYDOEとCRIME LINKなるデュオを組み、2004年に「SAME」というアルバムをリリースしているのですが、この作品にもTOO $HORTやJUVENILE、LIL FLIP、TELAといった有名どころが駆けつけており、この謎の豪華客演のからくりは気になるばかり。

RONNIE SPENCERがアイズレーばりの(ってかまんまだけど)お唄を披露する「Reincarnated」に始まり、
DEVINが「THE UP IN SMOKE TOUR」の“アレ”をユルユルと歌う煙たいメロウ「Strange」,
緊迫感のあるストリングスにACE DEUCEのフロウが映える「Trick'n-Nickln'-Dime'n」,
LEVITTIが鬼ゲットーなアンサンブルを聴かせる「Die」と、のっけからビックリするほどハイクオリティ。
そして、B-LEGIT客演の「I Hate Niggaz」、コイツがかな~りヤバイ!重たく響くキック&ベースに怪しげなエレピ、フックで鳴らされるキャッチーなピーヒャラ・シンセと、まさにマイナーGのお手本のような曲に仕上がってます。
さらに、盟友LETHALとギターがむせび泣く哀愁トラック上でマイクを回す「Most These Niggaz」,
UGKファンは必聴のMIKE MOSELY作極上メロウバウンス「I Don't Owe You」,
ゆったりとしたリズムにBILLY COOKの男前な歌唱が活きる「U Ain't Knowin'」,
KOKANEの客演曲の中でも屈指のメロディーの良さを誇る「2 Have It Made」と続き、
ラストは夕暮れ時に聴いたら号泣してしまいそうな鬼メロウ「Where Do We Go」で大円団!

ここまで他力本願なアルバムも珍しいと思います(笑)。が、一方で、クレジットを見るだけで食指をそそられるのも否定できないところでしょう。
爽やかな曲、アップテンポでノリの良い曲は一切ありませんが、車で、はたまた自宅のソファでドッシリと構えて聴くにはピッタリです。特に、中西部のG-RAPが好きな人は、ツボをビシバシ突かれること請け合いではないでしょうか。

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TOO $HORT/GET OFF THE STAGE
TOO $HORT/GET OFF THE STAGE

17枚目のアルバム...というだけで耳を疑ってしまいますが、ベイエリアのゴッドファーザーにして生ける伝説=TOO $HORTの新作がドロップ、い~んです、コレがまた。
正確には、内アタマ5枚はJIVEの前に所属したローカルの75 GIRLSから出した作品ですが、10枚以上のフルアルバムをコンスタントに出し続け(10枚目「GETTIN' IT」リリース後の引退期間があるにもかかわらず!)、そのほとんどにおけるセールスがゴールドあるいはプラチナに達しているアーティストなど、この人をおいて他にはいません。齢41歳...まさにゴッドファーザー。

TOO $HORTのスゴイところは、これほどの大御所でありながら無名のトラックメイカーやゲストラッパー/シンガーを分け隔てなく招き入れ(THE PACKが良い例です)、新しいビートにも果敢に挑戦する姿勢にあり、この辺りはJAY-Zにも通じる部分ですが、そのくせ流儀は100%ベイエリア。75 GIRLSと契約したのが1983年の事ですから、キャリアは実に20年強...そりゃ行くトコ行きますわな。

クランクとハイフィーの混ざり具合が絶妙だった前作「BLOW THE WHISTLE」もサイコーな出来でしたが、よりハイフィー寄りにシフトした新作は、それを越える好内容!ダラダラとまとまりがないアルバムが多い中、イントロ/アウトロ・スキットなしの全10曲という潔い構成にまず好感が持てますが、それだけに捨て曲が1つもありません。スローバウンスな冒頭のタイトル曲とベテラン・KOOL ACEをフィーチャーした「Pull Them Panties Down」を除いて、全曲がアップテンポでノリノリなナンバーで固められているので、FEDERATION「IT'S WHATEVA」やTURF TALK「WEST COAST VACCINE(THE CURE)」といった近年のハイフィー名盤と同じか、それ以上にツボに入る人もいるかと思います。質感的には、MISTAH F.A.B.「DA BAYDESTRIAN」に比較的近いかと。

まず、「Broke Bitch」~「This My One」~「Shittin' On 'Em」と続くTRAXAMILLION3連発が圧巻。仕事量が増えたからか雑なビートがチラホラ見られるようになってきた最近の虎草先生ですが、さすがに御大の前では下手を打てなかったのでしょう、トラックは一様にハイクオリティ。
また、このアルバムのトピックとして挙げられるのが、細かい話ですが曲間の絶妙さで、ゲストのE-40の“うぅー”(例のヤツです)を挟んで間髪入れずに次になだれ込む2・3曲目の流れなどは、まさに鳥肌モノ。通常は、マスタリングの段階で秒単位のシビアな設定をするものなんですが...最近は何も考えずに曲だけ詰め込んでいる作品が多いような気がします。その点、コレは良くできてる!
個人的なベストトラックは、MISTAH F.A.B.らを迎えたGENNESSEE(イイ仕事します)制作の「F.U.C.K.Y.O.U.」。余談ですが、こう表記すれば禁ワード扱いにならないんですね(笑)。中近東系の音階を用いたリフはさほど真新しいものではありませんが、音の抜き差しのポイントなどにセンスを感じます。F.A.B.の援護射撃も強力。
逆に、ニューウェイブなオケに力強いボーカルが乗るラストの「It Ain't Over」は、意表をつく展開が新鮮な、なぜだかクセになる曲です。

もちろん、主役の“ビヤッチ!”節も健在で、TOO $HORTの、多様なビートに対する適応能力の高さにはホントに驚かされます。ゲストも必要最低限な感じですし。
加えて、紙ジャケのオシャレなパッケージもグッド!これもいわゆる、“オトナのヒップホップ”の一つの形なのかもしれません。

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