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BLACK MILK/CALTROIT
BLACK MILK/CALTROIT

デトロイト・ヒップホップ新世代の象徴・BLACK MILKが、自らの名前を冠したコンピレーション・アルバムを編纂(元々はBISHOP LAMONTと連名で制作され、ミックステープ・アワードなども勝ち取っている秀作の新装版です)、その内容が、「POPULAR DEMAND」のアウトテイクを含んでいるとは思えないほど素晴らしい。
STAT QUO、SLUM VILLAGE、RAS KASS、ROYCE DA 5'9''、GUILTY SIMPSON、BUSTA RHYMES、PLANET ASIA、MISTAH F.A.B.、KARDINAL OFFISHALL、TRICK TRICK...(順不同)と、参加メンツに目をやれば、有名どころだけでも鼻血ブーな豪華さ。
さらに、“これぞBLACK MILKビーツ!”な曲のオンパレードであるにもかかわらず、実は収録された全18曲のうちちょうど半分にあたる9曲が外部プロデューサー(DJ KHALIL、FOCUS、MR.PORTER、JAKE ONEなど)の手によるものだという点もミソ。「CALTROIT」からは総じて明確な方向性が感じられるので、結果としてBLACK MILKのトータル・プロデューサーとしての力量を再確認させられることに。ラッパー/プロデューサー達の適材適所な配置を見ても、これは見事なホストっぷりと言えるのでは。

まず、アルバムの冒頭を飾る「Murder Hextro」~「Caltroit」の流れからして、とにかくカッコイイ!
硬質なビートと重厚なピアノが曲全体をけん引していくところは完全にドレ・マナーですが(特に後者は、ステレオに散らしたドラムやストリングスの入り方などが実に“らしい”感じ)、完成度が高いので何も文句は言えず。
デトロイトとカリのアーティストが持つ感性の近さはSHADYとAFTERMATHの関係などにも顕著ですが、ハイハットで細かく時間を刻まず、独特の浮遊感を作り出す手法はやはりデトロイトならでは。最終的に、それが作品に統一感を持たせる要因(の一つ)となっているような気がします。
加えて、小刻みに揺れるシンセが脳髄を刺激する「On Top Now」や、エレピの音色がメロウさとシリアスさを巧く共存させる「Inconvenient Truth」といった曲も、それぞれフックがまんま50 CENTだったり、雰囲気がモロにG-UNITっぽかったりするのですが、亜流と言ってしまうのがためらわれるほどクオリティは高い。

さらに、西海岸のアングラ・ヒップホップを地で行くようなドープビートにワウギターを絡めたトラック、PLANET ASIAにMISTAH F.A.B.というズバリな人選もナイスな「4 All My Niggaz」、
トライトンを使い倒していた頃のスウィズを思わせる感覚的トラックに、名手RAS KASSが意外な相性の良さを披露する「I Need It」、
ソウルフルなピアノが美しい歌モノ「Not The Way」と、後半にかけても良曲が続きます。
また、注目すべきはBLACK MILK自身が新機軸といえるビートを提供していることで、当然ファンは要チェック。
非ブラックミュージック的な旋律が哀感をかもし出すコズミック・グルーヴ「Bang That Shit Out」や「Everything」、
ネタのストリングスの組み立てに非凡なセンスを感じさせられる「Ape Shit」などのような曲は今まであまりなかった感じで、今後の活動の布石となるかも。
バスタ、GUILTY SIMPSONというアクの強いゲストに配慮したのか、珍しく電子音主体のミニマルなループが用意された「Mouth Music」では、一番活き活きしているのは主役のヴァースだったりして...絶好調です。

シングルカットされてもおかしくない曲がいくつも並ぶので、ベストトラックは選べません!ミックステープ、というかストリート・アルバム的立ち位置の手作り品(曲間も全然調整されてなかったりするし...作り込まれた感は皆無に等しい)にしては、驚異的なクオリティだと思います。
バスタやKARDINAL OFFISHALLのような、良い意味で地域性を感じさせないMCとの絡みもイイ感じだし、今年の夏にリリースが予定されている次作「TRONIC SUMMER」が俄然楽しみになってきました。どうか延期だけはしませんように...。
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GUILTY SIMPSON/ODE TO THE GHETTO
GUILTY SIMPSON/ODE  TO THE GETTO

僕はBLACK MILKのおかげでJ DILLAの喪失感に耐えることができたタイプの人間なので(「POPULAR DEMAND」は2007年のベスト作だと思ってます)、デトロイトのヒップホップは今がアツイ!とも強く感じています。
というのも、J DILLAの死後、彼~SLUM VILLAGEコネクション―BLACK MILKやYOUNG RJを筆頭にFRANK N DANK、FAT RAY、NICK SPEED、共演レベルではBUFF 1やFINALE & SPIER 1200など―間における行き来が目に見えて活発となり、そこにDABRYEやWAAJEED、TA'RAACHのようなヒップホップのフィールドにとどまらないクリエイター達の存在を併せて考えることで、最新のシーンの姿が明確に見えてくるからです。

そんな中、長らくフルアルバムのリリースが待たれていたGUILTY SIMPSONが、STONES THROWから「ODE TO THE GHETTO」をリリース。この人は初出がJAYLIB「CHAMPION SOUND」収録の「Strapped」だったハズなので、実に5年越しのソロ・デビューというわけです。イイですねー、今のご時勢にこの叩き上げの苦労人っぷり。
GUILTY SIMPSONのヤバさはBLACK MILK「Sound The Alerm」のセカンド・ヴァースなどを聴けば明らかなので今さら説明は不要だと思うのですが、彼や故J DILLA、MR.PORTER(D12周辺も忘れてはいけません)に加えて奇才MADLIB、OH NO、DJ BABUら西海岸コネクションが参加したプロダクションは、さながらアンダーグラウンド・シーンのベスト布陣といったところ。厳選されたゲスト(BLACK MILKとのコラボ盤も楽しみなSEAN Pなど)を含め、クレジットを見るだけで震えがきます。

序盤こそミニマル、悪く言えば地味な曲が並ぶので(STONES THROWの作品はこういう構成のものが多いような気が...MADLIBのビートもERYKAH BADUの新作のアウトテイクみたい)、リスナーはGUILTY SIMPSONのラップと対峙することを求められますが(狙い通り?だとすればそれはそれで聴き応えアリ)、DR.DREマナーの硬質なビートとフックで鳴らされる勇壮なホーンに血が騒ぐ「Get Bitches」からスイッチ・オン。
続く「I Must Love You」は貴重なJ DILLAの遺作の一つで、今回は哀愁全開モード。特徴的な、キックとスネアが強調されたドラムにファットなシンセ・ベース、賛美歌のようなコーラスの組み合わせがドープ。
極めつけは、MADLIB制作の「The Future」!この曲相当ヤバイです。イントロ部分の、フュージョン+メタルなループもまさにマッドですが(サンプリング?ネタ元がわかる人がいたら教えて欲しいです)、キックの乱打と鬼気迫るホーンに主役のハードなラップが絡むメイン部分のカッコ良さは失禁モノ。打ち込み自体はJUST BLAZEあたりが得意としそうな手法ですが、MADLIBの音は“いつものアノ感じ”なので、生々しさがハンパじゃない。この人のトラックに関しては、“オモロイなぁ”と感じることは多々あれど、クラブで聴いてみたいと思ったのはこの曲が初めてかもしれないです。CLIPSE「Grindin'」っぽい武骨さのある「Pigs」もナイスな仕上がり。

我らがBLACK MILKも負けじと3曲で活躍。
J DILLA直系のラフな打ち込みに独自のスペーシーな音使いが映える「My Moment」,
歪んだギターがラテンな音階を奏でるヘッドバンギング・チューン「Run」(この曲はドラムの抜き差しもサイコー),
ループとは別の場所で鳴らされているようなスネアの空間処理に耳を奪われる「The Real Me」と、どれも盤石の出来。この独創性には毎度の事ながら惚れ惚れします。

GUILTY SIMPSONを媒体としてデトロイト・ヒップホップとSTONES THROW双方の良いところを抽出したようなこのアルバム、メインストリームとはかけ離れたところに位置づけされるんでしょうけど、オリジナルかつフレッシュと形容できることは間違いありません。まだまだヒップホップで驚きたい人にはオススメです。
それにしても、今年に入ってからBLACK MILK絡みの音源が立て続けにリリースされていますが、ハズレがないのがホントに恐ろしいです。自身の名が冠された作品だけでも、コンピ「CALTROIT」やFAT RAYとのダブルネーム盤「THE SET UP」と、圧倒的なクオリティ。
この辺についてはまた後日...。

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K-RINO/WRECK TIME;TRIPLE DARKNESS VOL.1
K-RINO/WRECK TIME;TRIPLE DARKNESS VOL.1

「U GOTTA FEEL ME」の頃の羽振りの良さを考えれば、LIL' FLIPの最近のインディっぷりを見るに、モヤモヤを感じる部分は確かにあるのですが、そういう意味では、同じヒューストンのK-RINOに勝る者もいないのではないかと思います。
実際、GANGSTA LUV誌など一部のメディアを除くと、日本におけるK-RINOおよびSOUTH PARK COALITIONの認知度はビックリするほど低く、ほとんど黙殺と言ってしまってもいいほどですが、テキサスのヒップホップ・シーンを語る上では、初作品のリリースが86年というこのパイオニアの存在を看過するのは、もはや犯罪に近いような気さえしてきます。

昨年は17作目(!)にあたる「BOOK NUMBER 7」をリリースして好事家達を喜ばせたK-RINOですが、マイスペなどで事前予告されていた通り、「TRIPLE DARKNESS」と銘打たれたシリーズを(ほぼ)3ヶ月連続でリリース。それが3枚とも全てフルアルバム級のボリュームだと聞いた時は、さすがに“なんたる暴挙を...”と呆れ返りましたが、ここで尻込みしてはファンの名がすたるというもの、まずはVOL.1にあたる「WRECK TIME」から手をつけてみました。

が、結論から言うとまぁサイコーですね。いわゆる“好きな人にはたまらない”タイプの音楽なので、大きなヒットは望むべくもないのですが、ファンにとっては間違いなく鉄板な内容。何より、変にセルアウトしたりせず、一定のクオリティを保ったまま膨大な数の楽曲を世に出し続けるK-RINOの姿には感動すら覚えます。特筆すべき点は、K-RINOは過去にレーベルとの諍いを経験し、以来“taking 100% creative control of releases”(公式サイトのバイオより)という姿勢を貫いていること。これぞインディペンデント・アーティストの鑑、レコード会社におんぶにだっこのラッパーとは労力が違います。

個人的には、メインストリームものと並行してデトロイト産を中心にアングラをチェックするというのが、今一番楽しいヒップホップとの接し方なのですが、やはりダークでハードコアな音があってこそチャラい曲も映えるのだと思います。そして、ヒップホップの本流はやはりハーコーであって欲しいとも...。それに、ハーコーと一口に言っても、S.P.C.周辺のサウンドにはテキサスのアーティスト特有のゆるさや横揺れ感があるので、デトロイトやN.Y.のそれとはひと味違った楽しみ方が可能。

肝心の内容はいうと、まさに“100% K-RINO”と言って良いと思います。いつものように、ナオンの小唄やら派手な仕掛けやらは一切なく、重厚なビートにひたすらK-RINOがラップを乗せていくというスタイルが痛快。
とりあえず、幽玄なホーンの響きがヤバイぐらい哀愁を感じさせる「What U Gonna Do」,
重たいキックが淡々とリズムを刻み、ストリングスが荒れ狂う展開に突入する「Holla At Me」といった冒頭の2曲でつかみは完璧。タマラナイです。
他にも、寂しげに響くピアノの旋律が鳥肌モノな「Wrong For That」,
暖かみのあるワウギターとエレピの絡みがソウルフルな「Years Just Pass」などいくつか佳曲はありますが、それ以上に、アルバム全体を通じてクオリティ・コントロールが徹底されている点に感嘆しきり。

“せっかくテキサス産ヒップホップが注目を集めている昨今なのだから、もう少し色気を出してもいいのでは...”という心情は、熱心なファンにとってはなきにしもあらずだと思いますが、かといって、K-RINO独自の世界観を変えて欲しくはない。ここらへんのバランスは非常に難しいですね。
ただ、ボーカルのレイヤーがモジュレーター的な効果を挙げている(と思われる)「Hood Rules」や、シンセとドラムの打ち込みがクラブ映えしそうな「Crucified」などからは、予定調和の範疇にとどまらない進化を感じるので、基本路線はこのまま、少しずつメジャー感を出していくのが最善の方策ではないかと。ラップ自体は言うことナシ、鼻が詰まったようなギラついた声質とフロウ(強いて言えば、有名どころではREDMANあたりが近いか)、ストリートの悲哀を描いた写実的なリリックのカッコ良さは、万人共通なハズなので...。
尚、S.P.C.の公式サイトはかなり情報が豊富で、日本にいてはなかなか伝わってこないメンバー構成や各人のバイオなど、細部にわたって抜かりのない内容になっています。そこからK-RINO個人のページに行けば、一部ですがリリックも掲載されていたりするので、興味のある人は要チェックです。

SOUTH PARK COALITION Official Web Site

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LIL' FLIP/ALL EYEZ ON US
LIL' FLIP/ALL EYEZ ON US

とみにDAZ(=ヤ○ザ)化が進行中とウワサのLIL' FLIPが、MR.CAPONE-Eとのコラボ第二弾「STILL CONNECTED」から間髪入れず、YOUNG NOBLE(THE OUTLAWZ)を全面的にフィーチャーした怪しげな新作「ALL EYEZ ON US」をリリース。
発売元はやはりSONYではなく、SPICE 1やMC EIHT、BONE兄弟らをハロプロ並みにシャッフルしたタッグ盤を乱発しているREAL TALK ENTERTAINMENT。この会社、個々の権利問題とかホントに大丈夫なんでしょうか...そういえば、YOUNG NOBLEはこの一連のリリースの常連でした。

僕も昔は、ピストルズ親派だからクラッシュは聴かない、2PACファンだからビギーはスルーと、パンクの意味をはき違えていた時期もありましたが、今はアンチしていたアーティスト達の素晴らしさを知って猛省し、逆に、以前に増して勝負がキャリアの明暗を分けてしまうようになった“ビーフ”の現状を憂う日々。それゆえ、LIL' FLIPやGUCCI MANE、YO GOTTIなどの力ある敗者達(乱暴な言い方なのは承知の上ですが、ビーフ相手の成功の度合いを考えれば...)のくすぶりっぷりには歯がゆい思いがしますし、その分肩入れもしてしまうというわけです。

そんな中、大して(というか全くと言っていいほど?)期待せずも一応チェックしてみたこの作品、アー写やクレジットよりもレーベルの広告の方が大きいようなトホホ盤...と思いきや!思いきや、シングル級のキラーチューンが多数収録された充実作に仕上がっているんです。
H-TOWNマニア以外からは見向きもされなそうなこのアルバムですが、特にメロウ好きはマストバイ!とか言っておきます。ネームバリューのあるゲストや大物プロデューサーの参加が一切ないような、こうした目立たない作品がいきなりハイクオリティだったりするので、マイナー皿漁りはやめられません。

ちなみに、早めに断っておきますが、収録曲の半分は駄曲...とまでは言わなくてもかなりベタな感じです。こんなことを言うと、“充実作じゃなかったのかよ!?”と突っ込みを受けそうですが、要は残りの半分が良曲というワケで...。この「ALL EYEZ ON US」(タイトルも深く考えてなさそうなところが◎)はなかなか面白い構成をしていて、ATL直系のハードなバウンスビートとゆったりとしたメロウ曲がご丁寧にも順繰りに配置されているのですが、現行シーンの焼き直し感が強い(悪くはないんですけどね)前者はともかく、後者の楽曲群は珠玉の出来!

“とりあえず、②、④、⑦、⑪、⑬聴いて!”と、僕がレコ屋の店員だったらPOPに書くところです。
哀愁漂いまくりのストリングスのフレーズが印象的な「Where You From?」,
切なげなピアノと、タム回しが効いた壮大なドラムスが感動的な「Over Time」,
ピ~ヒャラシンセにワウギターという、G-RAPマナーな音色にリバーブの効いたギターが幽玄に絡む鬼メロウ「I'm A G」,
ネタっぽい処理をしたストリングスとアコギのアルペジオ、DIPSETっぽい性急な打ち込みに昇天必至な「On My Team」,
激ソウルフルなギターのフレーズが涙を誘う「Givin It Back」はどれもホントにイイ曲で、順位はつけられません。

ただ、メロウ曲が充実しているとは言っても、アップや爽やかな曲は一切入っておりません(笑)!そういう意味では、G-RAPはG-RAPでもカリ方面よりテキサス好きに受けるタイプの作品かもしれません。漠然とした言い方ですが、“夜の街に似合うメロウ”という点では強力なナンバーが揃っており、TRAEの名曲「Swang」などで泣いた人にはドツボな内容かと。
LIL' FLIPの新作「AHEAD OF MY TIME」はASYLUMからのリリースが決定、というトホホなニュースも入ってきていますが、ここ最近のキレっぷりを見る限り内容に心配は無用なようです。僕はTHE OUTLAWZもモチロン好きですが、YOUNG NOBLEとはなんだかんだで格が違うっす。

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PETE ROCK/NY'S FINEST
PETE ROCK/NY'S FINEST

シャウトアウトに記された"J DILLA for helping re-awaken my musical spirit and opening me up to new things."という一節には、ハッとさせられました。
僕はPETE ROCKのインスト・アルバムや近年のプロデュース・ワークもけっこう気に入っていたので(インターバルが長かったり、散発だったりはしましたが...)、新作リリースの際にそこ・ここで謳われる“PETE ROCK復活!”の文字に、なんとなく居心地の悪さを感じていたのですが、本人の意識も同じだったんですね。そんでもってタイトルは「NY'S FINEST」...できすぎです。

新作に収録された16曲の中では、JIM JONES(とMAX B)を迎えた「We Roll」がいわゆる“押し曲”にあたると思うんですが、たまたま僕も同じネタ(KOOL & THE GANG「You Don't Have To Change」)でトラックを作っていたので、その情報を耳にした時は正直ヒヤリとしました。が、いざこの曲を聴いてみて、原曲のフュージョンっぽい質感を活かしたループ構築とドラム・プログラミングに、やっぱPETE ROCKはすげぇわ、と口惜しくもニンマリさせられた次第。
ちなみに、お家芸のホーンの飛ばしが健在なのも嬉しい限りですが(イマドキこうした手法を用いる人はいないですからね...)、健在といえば、PETEが本格的に始め、日本でもDEV LARGE氏などが継承してきた、インタールードにおける高い音楽性にしても同様。その辺りも、古参ファンにとってはニンマリなポイントかと。
他の注目曲は、まず、FU-SCHNICKENS(!)のCHIPをフィーチャーした「Ready Fe War」。血筋が血筋とはいえ(PETEの父親はジャマイカン)、ここまで本格的なルーツ・レゲエ・トラックを作るとはオドロキです。CHIPのハマり具合ともども、意表を突かれました(あらためてFU-SCHNICKENSのLPを引っぱり出して聴いてみましたが、この人はマジでフリーキーすぎ)。レゲエ曲ということを抜きにしても、PETEのこういう泥臭いビートはあまり耳にする機会がないので、完成度の高さを考えると、この路線での展開も期待したいところ。
そして、僕的なベストトラックは、RELL客演の清涼感溢れるアップ「That's What I Am Talking About」!ダントツこの曲でしょ。ノスタルジックに鳴らされるピアノのフレーズと爽やかなコーラスは、春~夏にかけてのヘヴィー・リスニングにも耐え得ること間違いナシ!
で、この曲を聴いていて思ったのが、“RELLってこんなに良いシンガーだったっけ?”ってコトで、気になって過去の音源をチェックしてみると、はたしてそれほどでもない。これは、PETE(のビート)が歌い手のポテンシャルを最大限に引き出した好例だと思います。“トラックメーカー”と“プロデューサー”の違いってヤツですね。

さらに、J DILLAやHI-TEK的な打ち込みが新鮮な「Till I Retire」,
ROYAL FLUSH(!!)のラップを聴けるだけで涙目な「Questions」,
REDMANに合わせて作ったかのように相性バツグンな首振りシット「Best Believe」,
メロウなループにTHE LORDS OF THE UNDERGROUNDの懐かしさも霞む(失敬!)「The Best Secret」など、聴きどころは多し。

ただ、熱心なファンほど消化不良を起こしそうな気がするのも正直なところで、トータルで俯瞰すると、特に人選には不満が残ります。
まず、大きなトピックだったJIM JONESの参加に関して、DIPSETの一ファンとしては圧倒的なケミストリーでヘイターを黙らせて欲しかったので、もっとド派手でシンコペーションの効いたビートの方が良かったのでは?と感じました。
それに、STYLES PとSHEEK LOUCHのTHE LOX組にはもっとクールな音が合うと思うし(「It's A New Day」のサンプリングも効果的とはいえないような...)、コンピに既出の「The PJ's」は、せっかくウータン勢を呼んでいるのでハーコー路線で攻めて欲しかったです。

とはいえ、現在のシーンにおいてはこうした作品は逆にフレッシュなので、その分だけ有難味も増すというもの。「NY'S FINEST」はその名に反してインディーのNATURE SOUNDS発なわけですが、痛快にも元ネタのクレジットが全くないこと、および大ネタ使いの傾向が目立つ最近のPETEの作風を見るに、“リリース元はインディーながらメジャーなゲストを呼べる”現在の環境は、案外理想的なのかも。
ファンにしてみればこのアルバムはまだまだジャブ程度。いずれは、“新章に突入したPETE ROCKの初めの一歩”という位置づけになるんでしょうし、また、そうなることを切に願って止みません。

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